「在宅勤務はいつまで続くのか」
在宅勤務を定着させようと奮闘する会社がある中、多くの会社は在宅勤務は一時的な対策として捉えている。はやく従来の働き方を取り戻したいと考えている間は在宅勤務の定着は難しい。
しかし、日本でもコロナウイルスの感染拡大が続く中、いよいよ多くの会社は本気で働き方改革をすすめることになりそうだ。
今回は、在宅勤務がいつまで続くのかをテーマにこれから通用する人を目指すヒントをご紹介しよう。
在宅勤務はいつまで続くのか
在宅勤務は日本だけでなく世界で浸透し始めている働き方だ。従来、職場で顔を合わせて仕事をするのが常識だった業種や業界でも在宅勤務の導入は始まっている。
在宅勤務がいつまで続くかはコロナウイルスの感染拡大がいつまで続くかによると考えられているが、将来的には在宅勤務が今よりも定着する世の中になると考えておこう。理由は、ウイルスとの戦いはコロナウイルスに限らず今後も続くからだ。
ビジネスパーソンは、在宅勤務が終わるまで我慢するのではなく、業種、業界問わず在宅勤務で成果を上げる方法を模索しておくことが重要になる。
ただ、時代の流れで在宅勤務が定着するわけではなく、在宅勤務を定着させるにはいくつかのハードルがあることを知っておこう。あなたが働く会社が将来在宅勤務を新しい働き方にする可能性があるかも考えてみよう。
在宅勤務が定着しにくい5つの理由
- 紙や印鑑の文化がある
- コミュニケーションの問題
- 業務管理や評価制度が在宅勤務に対応していない
- ウェブ会議などの設備が整っていない
- セキュリティリスクがある
在宅勤務がいつまで続くのかを考えるとき、在宅勤務を一時的な対策にしたくなる5つの理由がある。会社の規模に関係なく、最低限の社員で仕事をまわしている会社や設備投資にお金をかけられない会社、あるいは顧客の動向に依存している下請け会社では、在宅勤務を定着させることは現段階では難しい。
紙や印鑑の文化がある
日本には紙の文化がある。紙ベースの資料、FAXでのやり取り、印鑑と三拍子揃っていることで、なかなか紙を使わない社会に一気に移行することは難しい。紙を使う限りはそこに人手がいる。
紙や印鑑の文化が課題
データでやり取りすることが増えてきている世の中なので、紙や印鑑の問題を解消して課題をクリアすることができれば、今後在宅勤務が定着する後押しになるだろう。
コミュニケーションの問題
日本のいいところでもあるが、日本のコミュニケーションは控えめだ。感情を表に出さないことを美徳にしているところがあるからだ。はっきりものを言わない文化は、在宅勤務をするときにはデメリットになる。顔が見えない分、曖昧な表現や阿吽の呼吸で進めるのはミスを誘発する。
結論から話す習慣の定着が課題
職場で対面しているときに雑談をするときは従来通りでもいいが、業務に関するやり取りは結論から話す習慣をつけておくことが重要だ。コミュニケーションには温度差があるもの。察してくれるなどと都合のいい解釈をせず、指示を明確に出す、やり取りも簡素化していく流れを作ることが在宅勤務を定着させるヒントになる。
業務管理や評価制度が在宅勤務に対応していない
フレックスタイム制やテレワークをすでに一部導入していた会社は比較的柔軟な対応をしている。しかし、例えば営業会社(商社や販売店)の場合は簡単に在宅勤務を定着させるのは難しい。特に、評価制度がプロセスに寄っていた会社の場合は、成果にコミットした評価制度への見直しが必要になる。
業務を把握する方法が課題
例えば、営業マンが訪問件数、アポインターさんがTEL件数で管理している場合などは比較的管理がしやすいだろう。しかし、例えばリーダーが指導する育成、先輩がサポートしている業務などをどのように評価するかを明確にしておかないと、自分の成果にだけコミットする社員が増えることになる。会社はひとりで完結する仕事だけでは成果を最大化できない。成果を最大化するために業務内容や評価制度の見直しができるかが在宅勤務が定着するかのポイントになる。
ウェブ会議などの設備が整っていない
ある程度の規模の会社であれば、ウェブ会議システムを各支店にすでに導入している。あるいは、すでにウェブ会議やウェブの商談をしている会社もあるはずだ。しかし、対面が基本になっている商売形態では、なかなかウェブでの打ち合わせを浸透させることは難しい。あるいは、最低限の人数や資金で組織運営をしている会社は、なかなか売上や利益に直結しないことに投資することが難しいだろう。
社員のパソコンスキルと設備投資が課題
まずは、パソコンを使う業務を定着させることから始める必要がある。管理部門だけでなく、営業や販売部門でも年齢に関係なく最低限のパソコンスキルを持ってもらう研修制度を整えよう。営業会議をしているなら、テスト的にウェブ会議をするなど、少しずつでいいので業務内容を変更していくことがポイントになる。会社を存続させながら、少しずつ変化していく意識を持つことができるかが在宅勤務を定着させることにつながる。デメリットばかりに目を向けず、うまく活用できれば業務の時間短縮になると前向きに考えよう。
セキュリティリスクがある
在宅勤務を定着させる上でもっとも大きな課題になっているのがセキュリティリスクだ。セキュリティリスクといっても、ウイルス対策やパソコンの盗難リスクだけの問題ではない。会社にはいろんな人が働いている。昨今、問題になっているSNSでの情報拡散も含め、社内の機密情報を社外(自宅など)に持ち出すリスクは大きい。機密情報の漏洩は会社にとっては死活問題になる。
情報漏洩に対する教育の徹底が課題
セキュリティリスクに対し、ウイルス対策をすることは会社として取り組めるだろう。在宅勤務を定着させる上で、もっとも重要なのは情報漏洩のリスク対策だ。社内の機密情報漏洩以外にも顧客情報の漏洩は、自社だけでなく取引をしている顧客にも迷惑をかけることになる。持ち出すデータを規制するなどの対策も必要になるだろう。セキュリティリスク対策ができた人や部署から在宅勤務を始めるなど段階を踏んだ在宅勤務の導入が必要になる。在宅勤務の定着への一番の課題だと認識しておこう。
在宅勤務がいつまで続くかより在宅勤務が当たり前になることを想定する
在宅勤務がいつまで続くのか気になる人は多いと思うが、ビジネスパーソンはどのような働き方になっても対応できるように準備しておくことが重要だ。世間のニュースだけに流されないように注意したい。
在宅勤務はデメリットばかりではない。満員電車の通勤がなくなるストレスの軽減だけでなく、通勤時間がなくなるメリットは大きい。職場ではコミュニケーションという雑談が行われることがあるが、業務に集中したいときは在宅勤務の方が成果を上げやすいだろう。
在宅勤務は、社員だけでなく会社側にもメリットはある。オフィス維持費の削減や軽減は固定費を下げることができる。さらに、通勤の交通費削減も視野に入るだろう。在宅勤務を行うための費用と削減できる費用と比較してみるのもひとつだ。さらに、今後想定される地震などの災害リスクにも対応しやすいこともメリットになる。
在宅勤務で始まった都会から人が離れる流れは正しい?
在宅勤務がいつまで続くのか考える上で、ビジネスパーソンがライフスタイルを考えるきっかけになった。コロナウイルスの感染拡大で、満員電車で通勤するデメリットが表面化したことで、都会から地方に引っ越すビジネスパーソンも増えている。
現段階で、在宅勤務が定着すると断言するには時期早々と考えておくこと。職場に通えないほど地方に住んでしまうことのリスクはゼロではない。在宅勤務が定着しなかったときのこともしっかりと考えておこう。