マルチタスクはもともと複数のタスクを並行して実行するコンピューターのシステムを指している。いつからか、ビジネスパーソンもマルチタスクができるのが優秀と誤解をする人が増えているので、今回は、ビジネスパーソンがマルチタスクをするメリットがあるのかを確認していこう。
マルチタスクは優先順位が不明確か完了できないときに起こる
ビジネスパーソンのマルチタスクとは複数のことを同時に進行させることを指す。 たくさんの仕事を抱えながらパソコンで仕事をすることが多い現代では、パソコンと同じようにマルチタスクができる人が優秀だと誤解されている。
厳密にはマルチタスクで仕事をする人はいない。マルチタスク至上主義の人たちの言うマルチタスクとは、複数抱えている仕事のシングルタスクの連続をマルチタスクと言っているのだ。つまり、完了していない仕事を複数抱えていることをマルチタスクで仕事をしていると言っているのだ。
仕事は完璧よりも完了させることが重要
仕事は完璧よりもまずは完了させることが重要だ。マルチタスクに甘んじる人は、優先順位を決められない人が多い。優先順位が明確なら、あえてマルチタスクにせず、仕事を細分化し完了させることを優先する。つまり、大枠で完了していなくても一旦仕事を切り離せる状態までシングルタスクで進めるのだ。
マルチタスクとは
- 複数の作業を同時に並行して行う
- 複数の作業を短時間で切り替えながら実行する
本来、マルチタスクとは、IBMが発表した複数作業を同時に処理するコンピューターの能力を指している。コンピューターの処理能力を示したはずの言葉が、なぜか人間に使われるようになった。背景には、パソコンが使えることがビジネスパーソンの必須能力になっていることがある。
マルチタスクが優秀と言う誤解は、コンピューターの処理能力に人間の処理能力を重ねたことが始まりだったと考えられる。
ネット好きほどマルチタスクが好き
ネット好きほどマルチタスクを好むのは、コンピューターの知識に長けている部分があるからだ。一般的なビジネス用途で使用するなら、画面を複数立ち上げたとしてもフリーズすることはない。例えば、エクセル表とワードの文章、社内システムなどを立ち上げた状態で仕事を進めることは可能だ。忙しい現代では、パソコンの画面に複数のソフトを立ち上げて仕事をすることもあるだろう。
でも、パソコンの画面やソフトを複数立ち上げることは厳密にはマルチタスクではない。エクセルで数値入力をしながら、ワードを作ることはできないからだ。厳密には複数の画面を待機させているだけで並行して仕事をしているわけではない。
本来のマルチタスクとは、映像の出力処理をしている間に、エクセル表を作るような作業をすることを指すのだ。あなたのビジネスシーンに、パソコンに時間のかかる出力処理をさせながら、別の作業をするような業務はあるだろうか?
ほとんどの人はパソコンに複数の作業を同時にさせることはないはずだ。
人間はマルチタスクに対応していない
天才を除いて、人間の脳はマルチタスクに対応していない。例えば、あなたは複数の人から質問をされて同時に返事をすることができるだろうか?
もし、複数の声を同時に認識できたとしても口はひとつしかない。同時に返事をすることはできないはずだ。もっと言えば、多くの人は複数名から同時にあれこれ質問されても質問内容が理解できないはずだ。
完了できる仕事を完了させず抱えるのはマルチタスクではなく怠慢
複数の仕事を同時に抱えることに問題はない。ただ、仕事の進め方はシングルタスクの連続でなければならない。
A社のプレゼン資料を作りながら、途中でB社の見積書を作成し、完了させないままC社の受発注入力をしている。机の上には書類の山、パソコン画面には立ち上がったソフトの山では仕事を効率よく進めることはできないだろう。仕事はマルチタスクをするよりもシングルタスクで仕事を完了していくほうが効率がいいのだ。
多くの仕事ができない人の使うマルチタスクの言葉に騙されてはいけない。仕事ができない人ほど、完了できていない仕事を指摘したときにマルチタスクで仕事を複数抱えていると得意気に話す。マルチタスクの言葉を多用する人は仕事が忙しいのではなく完了できる仕事を完了させていないだけだと気づいてもいないからだ。
マルチタスクを好む人
- 学歴があってエリートを演出したい人
- 仕事をかかえることがえらいと思っている人
- 忙しいことに酔っている人
- 仕事をはやく完了させたくない人
- 優先順位を決められない人
『マルチタスク=優秀』と考えている人は仕事ができない人だと考えておこう。マルチタスクと言って、机の上に書類が山積みになっている人は仕事を効率的に進め成果を上げているかを考えてみよう。
職務経歴書や転職の面接で、複数の仕事を同時に進められることをアピールポイントにしている人がいるがこれも間違い。マルチタスクをアピールして騙せるのは、ネットと無縁の世代か、優秀ではない面接官だけだ。
複数のプロジェクトを動かす人はいる
複数のプロジェクトを動かすリーダーはいる。むしろ、リーダー以上の人は1つの仕事だけをしているわけではない。だからと言って、仕事を完了させずに仕事を抱えるだけのマルチタスクを学ぶ必要はない。そもそも、優秀なリーダーはマルチタスクではなくシングルタスクを連続させているのだから。
忙しくてマルチタスクという言葉を使いたくなったらこう言い聞かせよう。
「マルチタスクは仕事ができる風を演出する人が使う言葉だ」と。
マルチタスクを好む人の3つの特徴
- 仕事の優先順位が決められない
- 脳を有効活用させなくても回る程度の仕事をしている
- 本当は忙しくない
マルチタスクをアピールする人は優先順位が決められない人
複数の仕事をするときにマルチタスクで進めようとする人は優先順位が決められない人。仕事はまず完了させること。完了させることを優先せず、仕事をどれも中途半端な状態で置いておくことを仕事ができるとは言わない。
優先順位をきめるには
マルチタスクで仕事をする前に仕事の全体量を確認する。仕事の全体量から、抱えている仕事に優先順位をつけて1つずつ完了していく。
優先順位は重要度が高く緊急度も高い仕事だけを優先している人は、重要度が高く緊急度が低い仕事を優先してみよう。緊急度が低いので後回しにしていると、結局緊急の仕事になってしまうからだ。重要度が高く緊急度の高い仕事が常にある人は、重要度が高く緊急度の低い仕事を後回しにしている可能性が高いので、自分の仕事の優先順位を見直してみよう。
マルチタスクで仕事を続けるのは脳を有効活用していないのと同じ
仕事を同時進行していると、複数の仕事を忘れないようにしないといけなくなる。複数の仕事を紙に書きだしておいたとしても、記憶の片隅にはおいておく必要が出てくる。これは、脳をフル活用できていない状態とも言える。
シングルタスクで脳を有効活用
完了できる仕事は確実に完了してから次の仕事に移ろう。まわりの優秀な人を見てみると、忙しいはずの人ほど忙しさを見せていないことに気づくはずだ。
仕事を山積みにしていることが頑張っていることだと勘違いしてはいけない。忙しいが口癖の人はキャパシティ(許容量)が小さい人だと知っておこう。
忙しいからこそ、段取りを考え優先順位を決め確実に1つずつ仕事を完了させていくことが重要だ。
本当に忙しい人は忙しいことを演出する必要がない
仕事ができない人はマルチタスクで忙しさを演出する。仕事ができない人は、仕事の成果ではなく仕事量だけをアピールしているのだ。あなたが本当に忙しいときに、「忙しい」と口にする余裕はあるだろうか?本当に忙しいときに「忙しい」と言う余裕はないはずだ。
チャンスを手にする人は忙しいと言わない
本当に忙しい人は「忙しい」と口にする時間が無駄だと考えている。忙しいという言葉は、新しい仕事を受け付けない状態であることを周囲にアピールしている状態だ。アンテナを高く立ててチャンスに対し準備をしている優秀なビジネスパーソンは、チャンスが遠のく忙しいと言う言葉を使わないのだ。
マルチタスクをやめて仕事を効率よく進めるには
仕事ができる人になるためにはマルチタスクをやめること。「複数の作業を同時進行できるから優秀」という考えている間は仕事ができないのだ。マルチタスクではなく仕事の優先順位を意識すること。
優先順位を考えるときは重要度が高く緊急度の低い仕事を早めに着手することを考えることが重要だ。
仕事ができない人のマルチタスクを確認しておこう
マルチタスクをやめる理由を復習しておこう。仕事ができる風を目指すのではなく仕事ができるようになることを目指そう。
仕事ができない人のマルチタスク
- 優先順位が決められないから複数の作業を同時に行う
- 複数の作業をしていることで忙しい風を演出する
- 新しい仕事をうけたくないため複数の仕事を残す
- 仕事が遅いから仕事が山積みになる
- ごまかしのマルチタスクで能力以上の評価をされている
仕事ができる人のシングルタスク
- 仕事の優先順位を決めている
- 忙しいのは段取りが悪いからと考える
- 優先順位を決めたら1つずつ確実に完了する
- 仕事は与えられるものではなく取りにいくもの
- 本来の実力を知り期待に近づける努力を続けている
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